酒類を除く飲食料品(外食を含む)の会計時にマイナンバーカード提示し、ポイント還元の仕組みにて税金の払い戻しを受ける方針ですが、様々な課題が考えられます。軽減税率のためにマイナンバーカードを使えば個人情報流出の心配や、読取り端末の税負担はどうするのか、カード紛失、再発行手数料などの 煩わしさなど・・・。
明らかになった「日本型軽減税率制度」の全容と、考えられる課題をまとめましたので紹介します。
「日本型軽減税率制度」の全容
2017年4月の消費税率10%への引き上げに合わせ、財務省が検討している「日本型軽減税率制度」の全容が7日、明らかになりました。
軽減税率にマイナンバーを活用
軽減税率の対象は「酒類を除く飲食料品(外食を含む)」。政府は、国民からいったん10%分の税金を集め、後から2%分の還付(税の払い戻し)をする。
時事ドットコム
買い物時に10%の税金を集め、後から2%分の還付する仕組みで、マイナンバーを使って一人ひとりの買い物データを保管、ポイント化します。
そのため、インターネットのホームページでたまっているポイント数や払い戻し可能額が分かり、申告をすれば事前に登録した口座で還付を受けられるというもの。
つまり、マイナンバーを使って個人の買い物データを保管、ポイント化するという仕組みです。
軽減税率は酒を除く飲食料品が対象
軽減税率の対象は「酒類を除く飲食料品(外食を含む)」。政府は、国民からいったん10%分の税金を集め、後から2%分の還付(税の払い戻し)をする。
時事ドットコム
財務省案では、「酒を除く飲食料品」が軽減税率の対象です。
消費者はいったん全ての品の買い物について10%分の消費税を支払い、先ほどの仕組みによって口座に申請、還付を受けられることになります。
「日本型軽減税率制度」の問題点
軽減税率の制度設計に当たっては、個人情報の保護には細心の注意を払う方針の模様。
買い物データを把握するため、16年1月から発行される「個人番号カード(マイナンバーカード)」を店頭で提示する仕組みにするが、カードに記録された氏名や住所、生年月日などは一切読み取らないとのこと。
購入データのみ暗号化され、政府が新たに設置するポイントセンターにオンラインで送付します。
このように、軽減税率でマイナンバーを活用する仕組みとの方針は理解できましたが、様々な課題、不満、利便性の低下などの声が出てきそう。考えられるのは以下の通りです。
マイナンバーで心配なのは、やはり個人情報と情報管理・・・
購入データのみ暗号化し、その他の個人情報は読み取らないとのことですが・・・
免許証など以外に、個人情報データ満載のカードをもう1枚常に持ち歩くとなると、紛失の心配も増えてしまいます。さらに、政府が新たに設置するポイントセンターでの情報管理も、年金情報流出のこともあり、信頼できるとは言い難い状況。
買い物のたびにカード提出が面倒
スーパーでのまとめ買いならまだいいですが、コンビニなど、ちょっとした買い物毎にマイナンバーカード提出となると・・・すごく面倒ではありませんか?
例えば、コンビニでポイントカードを提出すればお得だと皆さん分かってはいます。しかし、「いちいち店員に聞かれるのが煩わしい」「カード提出が面倒くさい」などで、ポイントカードを提出しない、持ち歩かない方は多くいらしゃるのも事実。
カード提出が面倒くさくて、「2%くらいの軽減税率なんてどうでもいい」ということで、カード提出自体しなくなる方も少なからず出てきそうですね。
カード紛失、再発行、買い物時の提出忘れなど
先ほども触れましたが、毎日持ち歩くものとなれば、カード紛失、再発行の必然性は高まるでしょう。
紛失した際の、警察への届け出、再発行の手数料・・・考えただけでも嫌な気持ちになりそうです。
これだけスマートフォンが普及している中で、マイナンバーカードに限らず、iPhoneのような指紋認証と非接触認証システムを組み合わせ、希望者にはカードを持ち歩かず「スマホ提示でOK」というシステムも構築してほしいものです。
読み取り端末はどうするの?すべて税金で負担?
今、様々な課題が出てくる中で、最も恐ろしいと思われる読み取り端末について。
これ、すべての「酒を除く飲食料品」を扱っている店舗の各レジ毎に導入が必須になります。もちろん、政府が新たに設置するポイントセンターと接続するため、クレジットカード読取機のような市場で販売されているシステムではいけません。
そして当然ながら、セキュリティ上、懸念されないような名の知れた大手メーカー製じゃなきゃいけないということです。それはもう、かなり利権が絡んだ見積提示になるでしょう。
一般的なクレジットカード決済端末は8万円前後です。
マイナンバーカード読み取り専用端末はより高額になりそうです。しかしここは、大量発注で安く作ってもらうという前提で、1台5万円で計算してみましょう。
マイナンバー読取り端末導入、データセンター運営は莫大な資金が必要ですよ
日本全国に飲食料品小売店数は、約40万店舗あると言われています。
※【出典】飲食料品小売店数:2009年
40万店舗に1台あたり5万円のマイナンバーカード読取り端末を導入したとすると・・・
200,000,000,000円!!
この数字見て、いくらかすぐに分かりましたか?(笑)
総額は2,000億円です。
もちろん、読取り端末だけではなくデータセンター設置、それを運営する(民間委託?)人件費などの運営コストは莫大なお金になります。
当然ながらそのお金の出処は、私たちが働いて払った税金ですね。
軽減税率導入するのに、壮大なお金をかけてしまうという何とも滑稽な話だとは思いませんか?
小売店がマイナンバー読取り端末の導入費用を負担する、なんていう話にはならないでしょう。こっそり、税金で端末作って導入すれば、この滑稽話に気づく人はあまりいませんからね。
消費税軽減税率制度検討委員会が9月10日に開かれた。検討委員会には、自公両党の税制調査会の幹部7人が出席。
財務省側は負担緩和策を「日本型軽減税率」と説明。実際は、買い物時に税負担が減らないことから、公明党議員より「軽減税率もどきだ」という批判の声が上がった。
また、「全国民がマイナンバーカードを持って買い物するのは現実的か」「情報端末の配備は2017年4月までに間に合うのか」などの疑問が続出した。
今回のマイナンバーを用いた消費税還付案を断念したと、政府高官が明らかにしたことを産経新聞が報じています。「マイナンバー制度の活用など制度設計が複雑で国民の理解が得られない」と判断したとのことです。
参照元:政府、消費税還付案を断念 軽減税率が軸、年内結論