タイの新カジノリゾートが大阪の IR に与える影響

タイのカジノリゾートと日本のIR計画への影響:競争と課題

タイ政府は2029年にカジノリゾートをオープンする計画を発表しました。

この動きは、東南アジアや中国南部からの観光客を引き寄せ、観光収入を大幅に増加させることを目的としています。

タイのカジノ法案は、初期ライセンスの有効期間を20年、GGR(Gross Gaming Revenue)に対する課税を17%と設定し、投資家や運営者にとって非常に魅力的な条件を提示しています。

これにより、タイのカジノリゾートは市場の注目を集めると予想されています。

大阪IR計画への影響と懸念

なお、onrainkajinonihon.comによるおすすめサイトで紹介されているオンラインカジノなどは、このカジノリゾートとは違います。

タイや大阪でオープン予定なのは 100% ランドカジノ(ラスベガスやマカオなどにある本物のカジノのこと)のことです。

日本の統合型リゾート(IR)計画は、2030年に大阪でのオープンを目指しており、MGMとオリックスの合弁会社がこのプロジェクトを推進しています。

しかし、タイのカジノリゾート計画が進行することで、日本のIR計画にはいくつかの懸念が浮上しています。

まず、タイのカジノが2029年にオープンすることで、日本のIR計画よりも1年早く市場に参入することになります。

これにより、東南アジア地域からの観光客がタイに流れる可能性が高まり、日本のIR施設が市場シェアを失うリスクがあります。

特に、タイのカジノ法案が日本よりも有利な条件を提供していることから、運営者や投資家の関心がタイに向かう可能性が高いです。

さらに、大阪のIR計画には多くの課題と反対意見が存在します。

地元住民や一部の政治家は、カジノ誘致に伴う社会問題や経済的リスクを懸念しています。

例えば、ギャンブル依存症の増加や治安の悪化、地域経済への負の影響などが挙げられます。

また、夢洲IRの汚染と液状化の問題も未解決であり、これらの環境問題に対処するための追加費用や時間が必要です。

大阪市は夢洲の土地に関する地盤改良や土壌汚染対策のために788億円の債務負担を決定しましたが、これには住民からの反対訴訟が進行中です(具体的な問題に関しては、週刊エコノミスト Online の夢洲が抱える地盤沈下や液状化のリスク解説記事をご覧下さい。)。

さらに、大阪IR株式会社は2026年9月まで違約金なしで撤退できる「解除権」を持っているため、プロジェクトの不確実性も高まっています。

地盤沈下や土壌汚染の問題が解決されない限り、大阪市の負担は増大し、プロジェクトが遅延する可能性もあります。

日本のIR計画の競争力強化戦略

このような状況下で、日本のIR計画が成功を収めるためには、いくつかの戦略を講じる必要があります。

  1. 法制度と条件の見直し: 日本政府は、IR計画に関する法制度と条件を見直し、投資家や運営者にとってより魅力的な環境を提供することが重要となる。
  2. プロジェクトの迅速な進行: IRプロジェクトが予定通りに進行するよう、政府と地方当局が連携して問題解決に努める必要がある。特に、夢洲IRの汚染と液状化の問題に迅速に対処することが急務。
  3. ノンゲーミング収益の強化: 日本のIR計画は、カジノ収益に依存しないビジネスモデルを採用することが重要。ラスベガスやマカオの成功事例に倣い、飲食、宿泊施設、エンターテイメント、ショッピングなどのノンゲーミング収益を強化し、多様な顧客層を引きつけることが大事。
  4. 高品質なサービスの提供: 日本は高品質なサービスで知られている。これをカジノリゾートでも活用し、顧客満足度を高めることが重要。
  5. 地域社会との連携: 地元企業や住民と協力し、地域の文化や特産品を活かしたイベントやサービスを提供することで、地域全体の経済活性化を図ることができる。

まとめ

タイで2029年にオープン予定のカジノリゾートは、日本の2030年にオープン予定の大阪IRプロジェクトにとって大きな競争相手となります。

しかし、日本のIRプロジェクトが成功するためには、法制度の見直しやプロジェクトの迅速な進行、ノンゲーミング収益の強化、高品質なサービスの提供など、さまざまな戦略を講じることが重要です。

一方で、大阪のIR計画には多くの課題と反対意見が存在し、プロジェクトがとん挫するリスクもあります。

もしプロジェクトが失敗した場合、経済的損失、観光収入の損失、信頼の低下、地域社会への影響など、深刻な結果を招く可能性があります(たとえば、東京オリンピックの際には、クレジットカードの完全IC化といったインフラ整備も行われました。こういった整備も、仮に計画がとん挫すると多大な損失を生みます)。

これらの課題に対処し、タイのカジノリゾートとの競争に打ち勝つためには、日本のIR計画は戦略的な対応が求められます。

政府と地方自治体が連携し、効果的な政策を実施することで、成功への道筋を築くことができるでしょう。

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