パワハラ認定のグレーゾーン具体例4つ&国が定義した「職場のパワーハラスメント」とは

最近何かと職場で注意しなければならない「〇〇ハラ」という言葉。捉えようによっては、異性や部下に対しては何でも「〇〇ハラ」に該当してしまいそうではありますが、パワハラやセクハラなどのハラスメント行為については、国がその線引を提示しています。

一体、どんな発言・行為がハラスメント行為にあたるのか、ここで整理しておきましょう。


これが該当するの?パワハラ判定される具体例

ハラスメントかどうかの判断に迷う「グレーゾーン」の行為を明確にし、自分自身が「ハラッサー」にならないよう、下記の具体例を参考に、まずパワハラのグレーゾーンについて紹介したい。

 セクハラもパワハラも好意があれば感じないもの
セクハラもパワハラも相手から好意があれば感じないものだが…

1.指導者の立場から、部下に対する能力否定

「何でできないの?」「どうしてできないの?」「あり得ないでしよ」と相手を精神的に追い詰めていくやり方は、指導の名を語った「能力否定」だ。相手の能力や状況に関係なく、高いレベルの仕事を要求し、「能力やスキルが足りない。もっと努力しろ」と叱りつけるのだ。

改善の第一歩は、自分の価値観や基準を相手に押しつけていないかを振り返ること。そのうえで、指導の際には、具体的に問題点を指摘し、相手が実行できる改善法を提示する。

■グレーゾーンな行動&言動
「こんな簡単な事がなんでできないの?」
「できない理由はなに?全然意味わかんない」
「無理なことは言ってないよね?」
「これまでお前はいったい何を学んできたん?」

■改善ポイント
自分の価値観や基準を押し付けない
具体的に問題点を指摘して、改善法を提示する

2.見せしめ、吊し上げ的なミス共有

ミスを許さない完璧主義の上司がやりがちなのは、「見せしめ」のようなミスの共有だ。
同僚がいる前で大声で「こいつのようなミスを絶対にしないように」と言ったり、ミスを指摘して強く非難するメールを「CC」でチーム全員に送ったりするのは、明らかにやりすぎな行為。

こうした光景を見たチームのメンバーは、「ミスをしたら自分も同じ目に遭う」と考えるに違いない。そうなると、失敗を恐れて挑戦することをやめたり、ミスを隠蔽するようになったりする。大事なのはミスがなくなること。個人攻撃はやめて、周囲に過度なプレッシャーを与えないように気をつけよう。

■グレーゾーンな行動&言動
同僚がいる前で、大声でミスしたことを怒鳴る
部下全員へのCCメールでミスを指摘

■改善ポイント
ミスの事実のみを共有
絶対にミスするなよ!という過度なプレッシャーは禁物

3.徹底的な部下の進捗管理

生産性の向上や効率重視を掲げる「管理型」の上司は、進捗管理を細かくやりすぎたり、成果を性急に求めようとしたりする傾向がある。

「例の件、もう終わっているよな」とプレッシャーをかけながら、進捗を報告させるのだ。そんんな上司は、部下を信頼していないことが多い。

「できているか?」と、常に相手を疑うような質問をするのが特徴だ。こうした管理をやめるには、まずは相手を信頼することが大事。そのうえで相談しやすい雰囲気を作る。そうすれば、要求してなくても適切な「報・連・相」をしてくれる。

■グレーゾーンな行動&言動
「さすがに例の件は終わってるよな?」
「こんなペースで仕事終わると思ってんの?」

■改善ポイント
相手を信頼して管理しすぎることがないように
相手を疑うような質問はしない

4.休日も関係なし!24時間メール返信要求

早朝深夜、日曜祝日を問わず、必要とあらば働くのが当たり前という価値観を持つ“モーレツ上司”は、部下にその価値観を押しつけがち。そんな人は、「メールは常にチェックし、いつでも即レスするように」と命じたりする。

これは暗に勤務|時間外の労働を強要しているのと同じ。緊急案件でない限り、勤務時間外におけるメールの即「レスの強要はやめ、メールのやり取りも勤務時間内にとどめておくのが基本だ。

■グレーゾーンな行動&言動
「家でもスマホでメールチェックできるだろ?」
「日曜に送ったメール見てないの?見てるんだったら返信しろよお前」

■改善ポイント
休日など、構わずいつでもメールの返信を要求しない
時間外のメールは勤務時間外の仕事だと認識する

指導とパワハラ、線引きが曖昧だからこそグレーゾーンに注意

パワハラは「業務上の適正な範囲を超えた」いじめや嫌がらせのことだが、厚生労働省が「職場のパワハラ」と定義している。

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」

職場のパワーハラスメントの定義

厚生労働省が定義した内容を見ると、業務上どこまでが「適正な範囲」になるかは曖昧で、ハッキリ言って、ケース・バイ・ケースとしか言えない。同じ言動でも、嫌いな相手であれば苦痛だが、好きな相手であれば許せたりもするというのが現実。これはセクハラについても同様だろう。

 職場のパワーハラスメントについて
職場のパワーハラスメントについて – 厚生労働省

パワハラの定義は曖昧だからこそ、「グレーゾーン」の言動は避けた方がいい。ただし、パワハラの場合、慎重になりすぎると、今度は適切な指導ができなくなることがある。
パワハラと業務上の指導の線引きは難しいが、頭のなかには、“パワハラ行為”とそうでない線引が、どこにあるかを意識しておく必要はあるだろう。

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