仮想通貨の所得税・住民税シミュレーション&利益が会社にバレない選択方法

購入した仮想通貨の価格が上昇して利益が発生しても、その先に必ず待っているのが税金の支払いだ。通常の給与所得以外で課税対象となる所得がありながら確定申告をしないと、延滞税や加算税の発生など厳しい罰則が待ち受けている。

仮想通貨収益は「雑所得」で損益通算できない

仮想通貨取引による所得は「雑所得」に該当する。これは配当所得や不動産所得など国が定める9つの所得のいずれにも該当しない所得のことだ。

雑所得の計算で生じた損失は不動産所得などと違い、雑所得以外の所得と損益通算できない。翌年以降に繰り越すこともできないため、仮想通貨取引による利益や損失が生じるタイミングによっては、実際の儲けがないにもかかわらず課税が生じることがある。

 仮想通貨は利益が出なくても税金がかかるケースを念頭に
利益が出なくても税金がかかるケースを念頭に

100万円利益が出た場合の税金シミュレーション

あなたはある年に時価100万円で取得した仮想通貨を持っていたが、その後価格が下がり、50万円で売却した。
一方翌年に前年の売却代金を元手に時価50万円で仮想通貨を購入したところ、時価100万円まで値上がりしたため100万円で売却できた。

この場合、あなたは100万円を投資して100万円を回収しただけで通算の利益は得ていない。だが、翌年の売却益については税金を支払わなければならない

税金がかかるのは売却時だけではない。国税庁が発表したガイドラインによれば、仮想通貨取引で所得が生じるケースは「仮想通貨の売却」「仮想通貨による商品の購入」「仮想通貨同士の交換」などがある。

■仮想通貨で所得が生じるケースおさらい
1.仮想通貨の売却
2.仮想通貨による商品の購入
3.仮想通貨同士の交換

要するに仮想通貨を売却して日本円を手に入れていないからといって、「納税しなくても大丈夫」という訳ではない。「ビットコインからイーサリアムに交換したった!」など、仮想通貨と別の仮想通貨を交換したり、「ビックカメラでビットコインとパソコン交換してみた」など、仮想通貨を使って電化製品などの商品を購入したりした場合にも所得が生じたことになる。

売却以外の方法で所得が生じる場合は、あなたの貯金口座から日本円を別途必要になることをお忘れなく。

会社員の方も注意が必要、仮想通貨所得で税率がアップする?

では、具体的にどれぐらいの税金を支払わなければならないのでしょう?
あなたが年収700万円、年間100万円の仮想通貨売却益が出た会社員Aさんだと想定。Aさんには元会社の同僚の美人妻がいるとしておく(配偶者控除あり/扶養親族なしのケース)。

仮想通貨による所得がなければ、社会保険料控除(120万円と想定)や給与所得控除などを加味すると、Aさんの所得税の課税所得は314万円。所得税率10%が適用される。
ここに仮想通貨による所得100万円が加わると、所得税の課税所得は414万円となり、税率はさらに10%アップして、所得税20%が適用されてしまう。

さらに一律10%の住民税と、所得税額に対し2.1%の復興特別所得税が課されることに。これで合計約84万円の税金が課されることになり、仮想通貨の所得がないケースと比べ約30万円多く支払わなければならなくなる。

仮想通貨売却益が100万円出て喜んでいたAさん。美人妻に高価なプレゼントでも考えていたところだったが、税金が30万円も増えるが分かり、手放しで喜んではいられない状況になってしまった。

 仮想通貨の計算方法は国税庁HPが詳しい
仮想通貨の計算方法は国税庁HPが詳しい – 国税庁HP

会社にバレたくなければ、普通徴収を選択

増加した税額は、翌年の2月16日から3月15日の確定申告で納付する必要があるほか、6月以降の住民税で支払う。所得税は原則として確定申告書の提出と同時期に納税するのに対し、住民税の納税方法は確定申告時に選択できる。

住民税の支払い方法は、特別徴収(給与から差し引くことによる納付)か、普通徴収(納付書による分割または一括納付)で納税することになる。
勤務先に仮想通貨による所得を知られたくない場合は、「普通徴収」を選ぶことをお忘れなく。

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