【解説】風疹の症状と感染経路&赤ちゃんに障害が起こる「先天性風疹症候群」に妊婦の方は要注意

風疹は、春から夏ごろにかけて流行がピークになります。まれに重い合併症を引き起こしたり、妊娠中に感染すると赤ちゃんに先天性の障害が起こるなどのおそれがあります。風疹を予防するには、予防接種が有効です。

風疹とは?

風疹とは、風疹ウイルスに感染して、発疹などの症状が現れます。
風疹は、子どもがかかる病気と思われがちですが、最近では大人の患者が9割近くを占めているとされています。日本では2013年に風疹が全国的に流行し、1万4000人以上が風疹にかかったと報告されています。

風疹の感染経路

風疹は、風疹ウイルスの感染によって起こります。風疹の感染経路は飛沫感染が中心で、感染した人の咳やくしゃみ、会話などで風疹ウイルスを含んだ飛沫が飛び、その飛沫を鼻や口から吸い込むことによって感染します。会話をしているだけでも風疹ウイルスを含んだ飛沫が1~2mくらいは飛んでいます。

風疹ウイルスに感染すると、平均5~8日間ほどの潜伏期間を経て発症します。ただし、風疹ウイルスに感染しても5~8%程度は、「抗体はできるけれど症状が現れない」不顕性感染であるとされています。不顕性感染の場合でも、気付かないうちに周囲に感染を広げてしまうことがあるため、注意が必要です。

 風疹は夫婦関係で感染する可能性が高い
夫など家族感染が起こり得る。妊婦の方は特に注意が必要

大規模流行となった2013年の調査では、風疹の患者数は女性より男性のほうが約3倍多くみられました。
風疹を発症した成人女性のうち、感染原因・経路に記載があった人を見ると、職場が知人、家族が町人などで、家族では夫からの感染が最も多いという記録があります。

風疹を発症したときの症状は?

風疹を発症すると、主な症状として発疹が現れます。赤い小さな発疹が顔や全身に広がっていきます。そのほか、8で前後の発熱、耳や首の後ろのリンパ節の腫れ、目の充血、咳などの症状があります。大人では関節痛が現れることも多くあります。また、大人がかかると、高熱が出たり、発疹が長引いたりするなど、重症化することもあります。

風疹の治療方法

対症療法を行い、安静にすることで治ることが多いものの、風疹ウイルスそのものに対して効果のある特効薬、今のところありません。

医療機関では、発熱、関節の腫れや痛みなどがある場合は、解熱薬や鎮痛薬などによる対症療法が行われます。多くの場合、風疹の主な症状は、3~5日間ほど自宅で安静にすることで治るとされています。

 風疹に特効薬はない
風疹に特効薬はない

風疹の合併症に注意

ただし、風疹はまれに合併症を引き起こすことがあり、重症化するおそれがあります。

合併症には、脳に炎症が及んで意識障害やけいれんが起こる脳炎や、血液の成分の1つである血小板の数が少なくなる血小板減少性紫斑病などがあり、入院での治療が必要になります。

赤ちゃんに障害が起こることも…妊婦の方は特に注意

風疹で最も注意したいのが、妊婦への感染です。
妊娠8週ごろまでに妊婦が風疹ウイルスに感染すると胎児にも感染して、生まれてきた赤ちゃんが先天性風疹症候群を発症する可能性があります。妊娠初期に感染するほど、複数の症状がみられる可能性が高くなります。

先天性風疹症候群とは

先天性風疹症候群では、難聴、心疾患、白内障・緑内障・網膜症、低出生体重、精神・運動発達の遅れ、血小板減少性紫斑病、肝脾腫などが現れます。
精神・運動発達の遅れでは、現れ方の程度に差がありますが、知的な発達や運動面の発達が、年齢相当よりもゆっくりしているなどがみられます。

また、先天性風疹症候群は、命に関わることもあります。2012〜2013年の流行によって、5人の赤ちゃんが先天性風疹症候群と診断されました。6か月から1歳ごろまでに行われた予後調査の結果、そのうちの1人のお子さんが亡くなっていることがわかっています。

風疹は特効薬がないため、予防接種が大切です。年代別に予防接種を幼少期に何回受けたかどうか分かる早見表も用意しました。
【年代別】風疹の予防接種を幼少期に学校で受けたか分かる早見表
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