ビットコインはこのまま王者を維持し続けるのか?世代交代の可能性を探る
暗号資産(仮想通貨)への投資経験がない人であっても、ビットコインという名を知らない人はほとんどいないでしょう。 2009年のローンチから16年経過した今でも、ビットコインは暗号資産市場でトップの市場価値を維持。 2025年7月10日は市場最高値を更新し、11万3,000ドルを突破しました。
しかし、昨今はAIを始めとした先端技術の発展に伴い、多数の暗号資産プロジェクトが誕生しています。 実際に、専門家が選ぶこれから伸びる仮想通貨の中には、AIとWeb3を組み合わせたプラットフォームを提供するプロジェクトや、最新のデジタル決済機能を備えるプラットフォームを展開するプロジェクトなど、注目度の高い銘柄が複数存在。 将来的には、これらの銘柄の価格は1,000倍になる可能性も充分にあるでしょう。
このように爆上げが予想される暗号資産が多数誕生している一方で、ビットコインはこのまま市場の王者で居続けることはできるのでしょうか。 本記事では、ビットコインの価値を再確認し、世代交代の可能性を探っていきます。
ビットコインの優位性
ビットコインの最大の強みの1つは、やはり長年にわたって築かれてきた信頼と実績があることでしょう。2010年の時点では、10,000コインでピザ2枚の価値しかなかったビットコインですが、今では1コイン11万ドル超え。最初に登場した暗号資産として、多くの人に対して未だに圧倒的な存在感を保ち、資産運用先として人気を集めています。
また、ビットコインはスマートコントラクトなどの複雑な機能が省略されている一方で、そのシンプルさによってセキュリティ面での安定性を担保。これにより、過去に重大なバグやネットワーク停止などの致命的なトラブルを起こしたことがないという事実点も、世界中から支持されている理由の1つとなっています。実際に、ビットコインは価値の保存手段として、金(ゴールド)に例えられ、“デジタルゴールド”とも称されています。
さらに、ビットコインは特定の国や企業に管理されているわけではなく、ノードと呼ばれる世界中の多くのコンピューターによって支えられています。これにより、ビットコインは高い分散性を実現。法定通貨に並ぶ信頼度を持つことから、たとえばエルサルバドルやアルゼンチンでは、ビットコインを公式な決済に使える通貨として認可しています。
アルトコインの台頭
ビットコインがトップの地位を維持し続ける中で、ビットコイン以外の暗号資産、アルトコインが猛烈な勢いで存在感を高めています。
その代表的な存在が、イーサリアムでしょう。前述のとおり、ビットコインにはスマートコントラクトが搭載されていない一方で、イーサリアムはスマートコントラクトを活用することで、分散型金融(DeFi)やNFTといった多様なアプリケーションの基盤として独自の地位を獲得。2025年5月7日には、大型アップグレード「ペクトラ」の実装を完了させ、レイヤー2のスケーラビリティ改善をはじめとするユーティリティ面の大幅な強化を実現しています。
また、各国で導入が進められている中央銀行デジタル通貨(CBDC)や、価格が安定したステーブルコインも、暗号資産市場で影響力を高ています。たとえば日本では、CBDCに対する社会のニーズが急激に高まる可能性があることから、2020年より日本銀行がCBDCの実現可能性についての実証を進めています。
加えて、三菱UFJ信託銀行は円と連動するステーブルコインのシステム開発が最終段階に入っていることを公表。国内初のステーブルコインがまもなく発行されることに、機関投資家から一般投資家まで、期待を膨らませています。
世代交代は発生し得るのか
アルトシーズンの到来が予測されるほど、ビットコインの地位に挑戦する銘柄が多く誕生している昨今。それでは、ビットコインに代わるような新たな王者が現れる可能性は本当にあるのでしょうか。
実際には、アルトコインの価値が高まる一方で、ビットコイン自体もその存在感を一層強めている現状です。2024年1月には、アメリカ証券取引委員会(SEC)がビットコイン現物ETFを承認し、続いてトランプ大統領がビットコインの戦略的備蓄に向けた大統領令に署名するなど、注目すべき動きが相次いで発生。こうした事例によって、単なる技術的な差異や理念だけでは揺るがない地位を、ビットコインは今なお築き上げているのです
技術進化と保守性のバランス
技術面においても、ビットコインはまったく進化していないわけではありません。 基本的には「安定性」と「セキュリティ」を最優先にしている一方で、たとえば「ライトニングネットワーク」の導入により、ビットコインの弱点である送金スピードや手数料の課題を解決したりしています。
今後もこうした改善が着実に進めば、保守的であることがビットコインの競争力を失わせるとは限らないでしょう。