【市場拡大銘柄】株価値上がりが予想される有望投資先(電気自動車、AI)

株式相場が高値を記録するなか、短期投資ではなく、将来を見越して仕込んでおくべき銘柄がある。ここでは飛躍的な市場拡大が将来見込めるテーマに絞って見ていこう。

取り上げている業界は、以下の通り全部で6つ。

・①EV(電気自動車)
・②電池(EVシフト)
・③AI(人工知能)
・④仮想通貨
・⑤RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)
・⑥インフラ輸出

①EV(電気自動車)

2017年はEV(電気自動車)ブームが鮮明だった。世界の自動車メーカーの株価騰落率はEVへの姿勢で明暗が分かれたといっても過言ではない。

3年までに8車種のEVを投入すると発表するなど積極姿勢を見せた独フォルクスワーゲンが8%株価を上げ、EVで先行してきた米ゼネラル・モーターズの株価も3%上昇した。これに対して、EVに消極的とされたトヨタ自動車は3%の上昇にとどまっていた。
ただ昨年2月以降は様相が異なっている。EVの先駆者である米テスラの新車生産遅れが明らかになってテスラ株が下落する一方、トヨタ株は堅調に推移している。
トヨタはその頃からオールジャパンでのEV新会社設立やEVで最重要となる電池の提携を矢継ぎ早に発表。3年代前半にEVを世界で2車種以上投入する計画も打ち出し、市場の見方が変わった。

トヨタ勢のHV技術はEVにも転用可能との見方

競合が数値目標で先んじていたが、トヨタは世界をリードしてきたHV(ハイブリッド車)で培った電動化技術の多くがEVにも転用できると投資家がわかってきた今、評価が見直されているのだ。

トヨタ系の最大手部品メーカー、デンソーもHVで培ったモーターやEV化に必要不可欠な熱マネジメント技術を多く保有しており、市場からの評価は高い。自動変速機大手のアイシン精機はEVユニット開発に力を入れている。

自動車部品メーカー(特にゴム)が見直されている

EVは環境問題から世界各国で推奨する動きがあるほか、自動運転など次世代車とも親和性が高く注目される。一方、EVで不要になるエンジン部品を扱うメーカーへの見方は厳しく株価が重かったが、最近は見直される動きもある。

振動を制御する防振ゴムやホースなどを手掛ける住友理工は、エンジン依存度が高い会社としたリポートが出回るなど、株価が一時低迷した。だが、EV化で燃料系ホースは不要になるが、モーターを搭載するので防振ゴムは必要。モーターならではの振動対策が求められるとして、投資家から再評価されている。

「EVでエンジン音が消えれば、動作音の静粛性も必要だ。ゴム製品を手掛ける豊田合成は遮音するために(ドア枠や窓枠などに装着されるゴム製品である)ウエザーストリップの機能がより求められる。シートなど内装品大手のトヨタ紡織も「シートの作動音を小さくし、モーターの静粛性を高める」という。

EVは電池を多数搭載し車両が重くなるため、小型軽量化は不可欠だ。静粛性とともに既存品の付加価値を上げるチャンスでもある。


振動を制御する防振ゴムやホースなどを手掛ける住友理工 – 参照: 住友理工 公式サイト

②電池(EVシフト)

世界で進むEVシフト。それに伴い沸騰しているのが、リチウムイオン電池を中心とした車載用蓄電池市場だ。2016年の市場規模は約1.4兆円で、今後も右肩上がりで成長し、3年には約4・7倍の約6.6兆円にまで膨らむという試算もされている。

車載電池の供給量で、世界首位に就くのがパナソニックだ。最大顧客、米テスラの量産車・モデル3の生産遅延は誤算だったが、1年2月にはトヨタ自動車との協業検討を発表し、テスラリスクを緩和した。将来的には、SUBARUやスズキといったトヨタ連合の電池供給を一手に担う可能性もある。

パナソニック以外にも、電池部材メーカーに商機

リチウムイオン電池の拡大に伴い、電池部材メーカーにも商機が訪れる。パナやトヨタに電池の正極材を供給するのが、住友金属鉱山だ。現在、電池材料となる金属の獲得競争が激化するが、自社で鉱山を有し、安定供給できるのが強みだ。電池の正極と負極を絶縁するセパレータで世界大手の東レは、3年までに1000億円超を投じて生産能力を拡大。旭化成や宇部興産も能力増強を急いでいる。

次世代電池の開発にも期待

現在のリチウムイオン電池には、航続距離の短さやフル充電に数十分かかるといった難点があり、EVの普及を阻む。そこで、こうした課題を解決する次世代電池、全固体電池の開発も着々と進んでいる。

大手自動車メーカーからの引き合いが強いのは、電池の部材を開発する三井金属鉱業だ。同社は2年ごろから全固体電池の電解質の研究に本腰を入れ始め、8年度には量産化に向けた試作ラインの増強も計画している。

中長期的な成長が期待される車載電池関連市場だが、勝ち残るためには企業の体力が試される。特に電池の量産には数千億~数兆円に上る設備投資が伴い、2月には、電池の製造に向けて開発を進めてきた独ボッシュが、「莫大な投資をしても収できる見込みがない」として撤退を決めた。

今後の優勝劣敗は、より鮮明になりそうだ。さらに、海の向こうでは、韓国メーカーに加えて、CATL、BYDなどの中国メーカーも急成長を遂げている。今でこそ日本勢がリードしているが、業界が一変する可能性も考慮する必要がある。

③AI(人工知能)

息の長い人気テーマとなっているのがAI(人工知能)だ。ディープラーニング(深層学習)の登場と、演算装置の飛躍的な能力向上が背景にある。クラウド(ネット上の仮想サーバー)を活用し、AIに欠かせないビッグデータを廉価でためこめるようになったことも大きい。

AIベンチャーが高沸

投資家に人気が高いのはAIベンチャーだ。昨年9月に上場、機械学習を用いたアルゴリズム開発企業・PKSHATechnologyはPER(株価収益率)500倍を超す人気ぶりだ。

ほかにFRONTEOやロゼッタ、テクノスジャパンなどのベンチャーも人気。AI人材の育成サービスを始めたチェンジも要注目だ。1年上場とAI銘柄としてはもはや古株のモルフォは画像処理技術が収益柱だ。デンソーと資本提携し深層学習を用いた車載向けのAI開発に注力している。

日本古参SI企業の評価見直しも

企業へのAI導入の役割を担う「存在として今後見直されてきそうなのが、SI(システムインテグレーション)関連銘柄だ。富士通は自社開発AIを活用。国内最多のSE部隊を機能させられれば、大きな成長を見せそうだ。

NTTデータや野村総合研究所は、独自開発のAIサービスを用意して、まだまだ拡大を続けそうだ。AIサービスではSCSKや新日鉄住金ソリューションズも注目だ。

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